3 失われた記憶

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「まあ、最近はいろんな愛の形があるみたいだから、私もそういうの、否定するつもりはないけど。でも、北城くんがあんなに頑張ってるんだから、あなたも年下だからって、彼に甘えてばかりいちゃだめよ。あなたが、将来のことをどう考えているのかは知らないけど……もっとしっかりして、北城くんの力になってあげなきゃ」 「……」  何て言っていいかわからなくて、オレが口をパクパクさせていると。 「有村さん、お待たせしてすみません」  そこに、絶妙のタイミングで慧が帰ってきた。  慧は、オレの様子がいつもと違うのに気がついたのか、ちょっと不思議そうな顔でオレと有村さんを見比べたが、それよりも、クライアントをこれ以上待たせてはいけないと思ったようで、すぐに有村さんとの打ち合わせを始めた。
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