緋色の祈り2

３ 失われた記憶

「うん。だって、ムリに頼んだのはこっちなんだし。その代わりに、仕事のことはもちろんだけど……できたら、餓鬼や悪鬼のことも、もっといろいろ教えてもらえるとありがたいんだけど」
　最終的に、オレたちの間では、そういうことで話がまとまった。

　北城慧はまだ23歳になったばかりらしいが、初めて彼が住むマンションに行ったとき、オレは、そのゴージャスさに度肝を抜かれた。
　外から見た感じは割と普通なんだけど、玄関を一歩入ると、ホテルみたいなフロントがあり、中には住人だけが使えるスポーツジムや、おしゃれなカフェなんかもあるらしい。