3 失われた記憶

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 それを本人に言ってみると、 「い、いえ……別にすごくなんかありません。俺の場合は、完全に独立しているわけでもありませんし」  北城慧は、とまどったように首を横に振った。 「え? でも、どこかの会社に所属して、たまに通ってるとかいうわけでもないんだろ?」 「そういうわけではないんですが……俺は学生時代から、ずっとこういう業界でアルバイトをしていまして……今も、そのときお世話になった会社から、顧客を紹介してもらったり、仕事の一部を回してもらったりしているんです。自分だけで新しい顧客を開拓していくのは、やっぱり大変ですから」 「ってことは、もう学生のときから、今みたいな仕事ができるように、業界で知り合いを作ったり、いろいろ準備してたってこと?」
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