悲劇

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(駄目…やめて…!!) 私はそれを見ているだけしかできない。 威圧感で足が竦み、声が出ず、手が上がらないのだ。 西の魂が減るに連れて肉が溶け、骨が残り、骨も少しずつ砂化していく。 私は泣いた。 クラスメイトが消えた。 今だに威圧感で動けない。 友達は石のようになって全く動かない。 気付けば 少しずつ死神が近寄って来る。 「いや…!!来ないで!!」 私は叫んだつもりだった。 しかし声が出ない。 おとなしく近寄ってくるのを見つめた。 「―…次ハ誰ヲ食ウカナァ…」 無情の顔で言う。 私は震えている。 今もう一人食らおうとしたその時だった。 ―チャラララン♪ 私の携帯の音。 それを聞いた途端に死神は 「うがぁぁぁあぁあぁぁ!!」 と叫び出し、スペードのAのトランプになった。 いつの間にか威圧感は消えていた。 体も動く。 (スペードのA…トランプ…) 嫌な予感がした。 (あと12人…死神がいる…!?) それを思った瞬間に12匹黒猫が現れた。 「!?」 私は素直に驚いた。 さらに気付けば自分の手にはハートの1~13のカードが。 なんと ハートの1と2の紋章が強く光り出した。 1からは朱雀が舞い降り 2からは赤龍が舞い降りた。 同時にスペードの1から邪気が飛び、 目に傷がついた2の黒猫に邪気がつく。 突如。 黒猫は狼と化した。 教室の生徒が奈落の底に落ち、室内が紫の霧に包まれた。 狼と朱雀が眼をカッと開けた。 ―…刹那
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