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「おい 結衣!」
「んっ…んっ」
「起きたか?」
「…。」
まだ眠気がありそうな結衣を起こして、帰るからといい、パーカーを羽織る。
「結衣姉は?」
キョロキョロと捜す動作に頭の片隅で誰かが横切った。
そして口走る台詞
「また どっかに隠れたんだよ」
眼を見開いて見てくる、少女は、小学校から今まで結衣と呼んでいた少女だ。
夕日が沈む。真っ赤に染まった部屋で結衣をみる。
「なんだ今の?誰だ?」
「…記憶…戻ったの?」
「記憶?結衣はお前だろ?」
いつもの結衣の顔に遠い昔の残像が交差している。
違う?なにが?わからねぇ。わからねぇけど、誰かと誰かが一緒に呼ぶ声。
「誰だよ?」
「俊介」
「お前誰だ?」
「私は…私は、結衣だよ!」
「結衣だけど結衣じゃねぇ。結衣はどこだよ」
「落ち着いてよ!」
「頭が…。いてぇ…」
「大丈夫??救急車」
「よぶな!!!」
「俊介…」
大事な大事なこと。真っ赤な小さいな小さな紅葉を指輪のかわりに交換して「結婚しょうね」って約束した 結衣。
「お前、あの約束覚えてるか?」
「約束?」
「小さな紅葉を交換したよな。」
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