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第一章 記憶はサイレンと共に
何かが一瞬光ったと思ったら、それが私の胸を貫いていた。
キラキラと噴き出した血で、薄ピンク色の洋服は真っ赤に染まる。
ポケットに入れていたビーズは散らばって、いろんな色の雨になって辺りに降り注いだ。
一瞬光ったもの…
それは大量に現れた殺戮用ロボットの一体から撃ち出されたものだった。
鋼鉄で出来た頑強な体と能面のように無表情な顔らしきものは、瓦礫の中に倒れこんだ私を見ている。
そんな絶対絶命の状況にもかかわらず、私は不思議なほど冷静で、まるで日曜の昼下がりのように、ただ空をボーッと見ていた。
「空って、狭い」
この学園の向こうはとっても広く、自由の場所へとつながってると理由もなく信じていた。
「夢って、叶わない」
この学園を出たら遊園地に行って好きな洋服を買って、好きなものを食べてお城みたいな家に住みたい、それをずっと夢に見ていた。
薄れゆく意識の中で、絶望と同期するように
もはや生きたいと言う感情は私の中からは消えようとしていた…。
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