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「ふぅ……」
あの変態が(一時的にではあるが)居なくなり、紅井にほんの少しばかりの安息がやってきた。
自身の通う南葉(なんば)高校の制服──今は夏真っ只中だから当然夏服──に袖を通し、下には制服のズボンを履く。
今までの紅井の格好はパジャマ(という名のスウェット)だったのだが、キレイ好きな紅井はその脱いだパジャマを畳んでベッドの上へと置くことを欠かさない。
南葉高校の夏服は、ワイシャツ1枚に冬用より少し薄手のズボンという装いとなっている。ちなみに、冬服は学ランである。
また、校則はそこまで厳しくない故に制服を着崩す者が多く、紅井もそのうちのひとりだったりする。
ワイシャツはズボンに入れず、ボタンは第2ボタンまでオープンするのが紅井の基本スタイルであった。
「よし、っと……。お待たせナナー。もう入ってもいいぞー」
着替えを終え、学校の夏服へと装いを変えた紅井は、ドア越しに待機しているであろうナナにそう呼び掛けながら扉を開けた。
「ほほーぅ。そのワイシャツのボタンの外し具合……。ご主人様……さてはあなた、私を誘ってますね?」
「そんじゃあいってきまーす」
「やっぱり無視って一番堪えますよね……」
涙ぐむナナ。
と。紅井がナナへのベターな対処法を発見したその刹那。
ピンポーン、と。
家のインターホンが鳴った。
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