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内心これからの展開に憂える紅井をよそに、ナナは紅井の後ろから顔を覗かせ、来訪者を窺った。
そして、ナナと拓二の目が合った。
「うぅぅおぉぉぉぉぉぁぁぁぁ!? 誰このメイド服着た美少女!?!? もしかして彼女!? 一矢の彼女なの!? いやそれでもいい! ちょっとそこのとっても可愛いお嬢さん、ぺろぺろさせてよhshsさせてよ!!」
「 こ れ は ひ ど い 」
いやまあ大体そんな感じの反応なんだろうなと予想はついていたが、もう色々と手遅れな程に腐っていた。果たして、こんな奴を野放しにしておいて大丈夫なのだろうか。
「あのすいません朝早く来てもらったところ悪いんですがちょっと生理的に無理なんでさっさと消え失せるなりドブネズミと戯れるなりしてください」
変態的アプローチを受けたナナは、無機質な無表情で淡々とそう返した。
「ナナが毒舌……だと……!?」
紅井に対するか他の人間に対するかでナナのキャラクターが全く違っているのだ。紅井が驚くのも無理はなかった。
「はっはっは。分かってないなぁ一矢は。そう見せかけた照れ隠しに決まってるじゃないか」
「いや真面目に無理なんですけど。どこをどう見たらそういう風に見えるんです? ちゃんと現実を見たほうがいいんじゃないですか? それと、存在が不愉快なので半径5m以内に存在しないでもらえますか? あ、あとできれば今すぐ呼吸を止めて下さい」
「」
「玉砕じゃねェか」
拓二はナナを見た瞬間から(超絶美少女故に)気に入ったようだが、当のナナには会った瞬間から嫌われていたようだ。まあ、当然と言ったら当然の結果なのだが。
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