第2話:変態少年は傷つかない

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 と、変態コンビが馬鹿な会話をしていると、朝のHRを告げるチャイムが教室中に響きわたった。  それを聞いて、友人の席に集まっていた者達は自分の席へと戻っていった。  そして、まだ多少ざわつきがあるものの全員がきれいに着席し終えたところで、教室の前側の扉が開いた。  そこから入ってきたのは、紅井たちの担任である越見(えつみ)という女教師だ。ちなみに独身。 「あぁー……エツミン今日もキレイだなぁ。ナナちゃんもイイけど年上女性もやっぱり捨てがたいなぁ……」  呆けたような真剣なような表情で、惚けた事を呟く拓二。  変態の言葉通り、越見は美人の部類に入る教師だった。  より詳しく言うなら、切れ長の瞳にすっと通った鼻筋、肩の辺りまでで切り揃えられた真っ黒な髪。  常に着用している眼鏡と黒のスーツが凛とした雰囲気を醸し出す──、「可愛い」と言うよりかは「かっこいい」と言える様相を呈している美女である。  ……である、のだが。 「よーしオマエらー、朝のHRは私からは特に話す事ないから終わりだ。1時間目までテキトーに過ごしてていいぞー」  そう。発言からも窺えるように、この独身女教師、かなりテキトーなのである。適度な方の「適当」ではなく、雑と言える方の「テキトー」なのである。  つまり越見は、いわゆる「残念な美人」なわけだが。 「聞いて聞いて一矢、エツミンが今日も僕をギャップ萌えさせてくるんだよ!」  変態はそんなのお構い無しの見境無しだった。本当に、この変態は女なら誰でもいいらしい。 「さいですか」  とりあえず紅井的には、担任すらもエロい目で見るような変態の戯言(たわごと)は、右から左へと受け流すのがベストである。
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