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◆ ◆
そして放課後。
「え、もう?」
「一矢、どしたの?」
「いや……いくら今日が終業式しかないとはいえ、なんかあまりにも不自然に時間がすっ飛んだ気がしないか? 俺、その間の記憶がないんだよ」
「えー? いきなりなに言ってんの一矢? 頭だいじょぶ?」
「あぁ大丈夫だ。少なくともお前よりかは」
きっと紅井は、物忘れが局所的に著しく凄まじく激しくなっただけなのだろう。
決して、描写が面倒だから省かれたとか、そういうアレではない。
頭のネジが足りない変態に頭の心配をされた事はさておくとして、帰る準備をしよう。紅井はそう思考を切り替え、カバンに教科書等を詰め込む。
そうして一通り収納し終えると立ち上がり、拓二に声を掛ける。
「ん。よし、帰ろっか一矢! あ、そうだ。僕今日は一矢ん家に行くね! そんでもって、明日から夏休みだけど毎日一矢の家に行くよ!」
「どうしたよ唐突に? まぁ、別にかまわないけど」
紅井も基本いつでも暇なので、別に夏休みだろうといつだろうと友人が家に来ること自体は構わない。
「何が言いたいのかっていうと、つまりナナちゃんhshsぺろぺろくんかくんか」
「さすが拓二さんっすわ」
とりあえず、ブレのない拓二の無二の変態っぷりには畏敬の念を抱かざるをえない。
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