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「……ナナ、コイツを復活させてやってほしい」
「えー……いくらご主人様の頼みでもそれはちょっとー……」
頼み込む紅井に、頼み事の詳細の察しがついているらしく渋い顔をするナナ。
「そこをなんとか頼みますよ。超絶天才美少女ナナさんや」
「……お任せ下さい。吐き気をこらえて頑張ります」
紅井の甘言で、渋々嫌々仕方なくながらやる気を出したナナは、魂が抜けたように真っ白なまま座る拓二の方へ歩み寄ると、
「目を覚まして下さい、お・に・い・ちゃ・ん♪」
「 み な ぎ っ て き た 」
こうかは ばつぐんだ!
拓二は いしきを とりもどした!
「デレたデレた、ナナちゃんがデレたッ! よぉし、デレた記念に僕がナナちゃんの身体を隅々までぺろぺろしてあげようッッ!!」
「汚いなさすが拓二きたない」
「チッ……こうやってこの愚図が調子づくからあんな事はやりたくなかったんですよ……」
なんとか拓二が廃人になるのを防ぐことができたが、ナナは舌打ちを一つ、心底後悔した様子で奥歯を噛み締めていた。
「さぁナナちゃん! 僕と、レッツ・アクセルシンクロンッッ!」
「意味がわかりませんよ! そんな手をワキワキさせながら近寄らないで下さい、やらしい汚ならしい穢らわしい!!」
そんな二人の様子を見て騒がしく思う紅井だったが、その騒がしさは決して不快なものではないとも思えた。
とは言え、まず目下の問題は、完全に調子に乗った拓二を沈静化させることだが。
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