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やがて夕飯が出来上がり、食卓についた紅井とナナ。
「さて、ご主人様。『ハムレットとオムレツの違い』についての議論を続けましょうか」
「そんな話してないから。カットしてる間の場面を読者さんに誤解させるような事言うんじゃありません」
というか、わざわざ議論なんてするほど似ていない。
「でも! ハムレットって、ハム+オムレツみたいで美味しそうじゃないですか!」
「わからなくもないが、そもそもハムレットは食べ物ですらないからな」
「なん……ですと……!?」
「ま、茶番はこんぐらいにして、冷めないうちに早く食うぞ」
紅井の言葉の後、
「「いただきます」」
と声を揃えてふたりは合掌した。
「はふふっ! ふもももはもはももぐもぐはっふはふっ!」
「何語だよ。よく噛んで飲み込んでから喋れって」
「……(ゴクン)。ご主人様、このオムライス美味しいんですけど! まったくもう、なんでこんな美味しい物を作ってくれたんですか!? ありがとうございます!!」
「なんだよそのキレ気味の感謝は。どういたしまして」
──それにしても、メイド服着た美少女がオムライスに食らい付く絵面ってのも中々にシュールだな。
紅井はふとそんな事を思いつつ食べる手を動かす。
「……おや、ご主人様。口元にケチャップが付いていますね。拭き取って差し上げますのでじっとしてて下さいまし」
「マジか、わりぃな」
紅井の口元の汚れを、ティッシュを使いきれいに拭き取るナナ。何だかんだで仲が良いふたりである。
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