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「────ゑ?」
思わず「え」が古い仮名遣いになってしまうほど驚いた紅井。
──今喋ったのは、いったい誰なんだ?
と紅井が状況を掴めず困惑していると、
「……えーっと、ご主人様? いきなりその様に唖然とされて、いかがなされましたか?」
さも紅井の反応の方が不自然だと言わんばかりの調子で、その声の主が紅井に伺ってきた。
「誰だ……?」
唖然・驚愕・喫驚・絶句。それらから意識を戻し、疑問を呟いた紅井は、ここでようやく自分の周囲を見回した。
すると、そこでいつもの部屋とは違うモノとして紅井の目に映ったのは。
「『誰だ』とは何を言ってるのでごさいますか? 私はあなた様の家族なのですよ?」
などと語る、白髪の美少女だった。……全裸の。
「は????」
理解できないあまり、疑問符を通常よりも3つも増やしてしまう程だった。
ますます状況が分からない。と言うより、分からなくなった。
史上初の女の子──しかも紅井的にはかなり好みなルックスの美少女の裸という、紅井的目の保養はさておき。まずは一度、状況を整理しよう。
紅井家の家族構成は、両親と紅井一矢の三人しかおらず、両親は共働きで朝早くに出掛けて夜遅くに帰ってくるのだ。
そのため、時計が午前6時を示す現在、この家には紅井一矢以外の人間はもう居ないはずなのである。
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