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──なら、コイツはいったい誰なんだ?
「あのー、ご主人様? 私はナナですよ? あなたが私に付けてくださった名前じゃないですか」
「はい?????」
紅井の内心に答えるかのように──当然のようにおかしな事を──言った彼女だが、どう考えてもその理屈はおかしい。
おかしすぎて、今度は疑問符が5つになってしまった。
もちろん紅井の知るナナは、どう考えてもこんな女の子女の子した姿ではない。
──純銀にすら見える、まるで穢れの見当たらない白い長髪。
──爛々と気高い煌めきを放つ、快晴の空のように澄んだ碧眼。
──雪のように白く、艶のある肌。
──細くくびれた腰。
──スラリと細く伸びた腕や脚の華奢さに反して、否応なしに視線を釘付けにされる、胸部の豊かな膨らみ。
つまるところこいつは、ナイスバディな白一色の美少女なわけであるのだが……。
──って、待てよ? 白一色? それはまるでナナの毛並みみたいな──
「──まさかとは思うが、えーと……なに?」
思い至ったものの、かなりありえないと疑念を抱きながらも、
「もしかしてお前が、ナナが人になった姿、って事なのか……?」
状況的に考えて率直に一番妥当だと思った事を紅井は訝しげながらに訊いてみた。
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