第1話:白の同居人

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 確かに目の前の少女は紅井の理想的な顔立ちをしている上に、紅井的には大いに好みである巨乳だ。  人の好みは千差万別だが、少なくとも紅井からすればナナの美貌には非の打ち所がないと思う。  つまりもっと端的に言ってしまうと彼女の外見は紅井的にはストライクゾーン超ド真ん中なのだが、しかしそもそも常識的に考えてみてほしい。  彼女がナナだと言うなら、こんな人間の姿をとっているはずがない。犬がいきなり人になるなんて、そんな漫画やアニメみたいな馬鹿げた現象は起こり得るものなのだろうか? 「何故……と言われましても原因は私にも分かりません。強いて原因に近いものを挙げるなら、『今日で私が拾われてからちょうど1年だから』ではないでしょうか?」 「そんな理由だけで常識を覆す変革が起きるモノなのか!?」 「あ。それと、そういえば昨日ご主人様が私に頬擦りしながら『きっと人間になってもかわいいんだろうな~~』とか言ってたから、多分おそらくそれが契機(フラグ)となったのではないかと」 (……なんか恥ずかしいんだけど)  顔が赤くなるのを感じた紅井だが、何にせよ彼と愛犬しか知りえないはずの昨日の記憶がある辺り、(まだにわかには信じられないが)どうやら彼女は本当にナナであるらしい。  まあ、もし仮にそうであるとするなら、先述の通り彼女の髪の毛の色が真っ白なのも、変化前のナナの真っ白な毛並みの影響からだろうと頷ける……のかもしれない。
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