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『あー…あぁ~…えぇ…がはっ…ごはっごほごっほ…気管に…ごは、がぁ~あ…かぁーっ…かぁーっ…ぺっ…』
休み時間、いきなり入ったオッサン丸出しな放送に、教室内の空気ががた落ち。
みんな急に顔色を悪くし、気分がすぐれなさそうだ。
天文はそんな流れも気にもする風でもなく、『おやおや…お大事に』と眼鏡を上げる。
『あ~…全校生徒に告ぐ。速やかにグランドに集合。制限時間は今から1分半……以上』
言い終わるが早いか、全員一斉に駆け出した。
「天文、急げ!」
「やれやれ…また校長が余計なことでも思い付いたんじゃないのか?」
が~こが~こ…と鉄下駄を引き摺り、煩わしそうに歩く天文を無理矢理背負う。
「急げって。遅れたら校舎外壁登り50本はさせられるぞ」
「それもそうだな。よし、ほっすぃー急いで走れ」
「俺は馬じゃねえ!」
そんな風に大声を出しながらも、元陸上部とすれば走りで負けるわけにはいかない。
三階から天文を背負い、鬼走りでグランドへと飛び出す。
既に砂時計で時間を見ている先生が銅鑼を鳴らす準備をしている。
その時、歴史は動いた!
おそらくこの時のラスト50㍍はバジリスクを越えたはず。
現に最後の俺の形相を見たヤツが言った。
『般若とオオツノヒツジとマンドリルを足して2で割った感じの血走った眼をしていた』
数が合わねえじゃねえか…
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