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一番の愛?
それをくれるのは誰?
それはどこにいるの?
そんなことを
想っていたら
兎はいつのまにやら
夢の中
夢の中では
大きくきれいな
まんまる満月が
兎に向かって微笑みかける
だけど兎の微笑む先は
月に向かってではなく
となりの誰か
あの子は誰?
あたし知ってる
いつも追いかけっこして
いっしょに遊んでいた
兎は気持ちよく
静かに寝息を立てながら
ぐっすりと眠っている
それを横目に
亀は心をこんがらがらせ
どうしようかと悩んでいた
どうせ後で追い抜かれ
居ることも気にされずに
また引き離されるのなら
このままそっぽを向いて
先に進んで
どこかに消えてしまおうかとも
考えた
だけど兎の
そのかわいい寝姿
目に入り
思わず近づく
亀の脚
間近に迫ったその顔に
兎のお目々がぱちくりと開く
驚きドキドキの亀をよそに
兎のはなったそのセリフは
「おはよう やっと想い出した
あなたがあたしの一番の愛」
満月に照らされ
兎と亀が静かにならんでいた
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