9人が本棚に入れています
本棚に追加
01
もふもふと、生暖かい感触が顔の上に乗っている。
とても良い匂いがしたが、とにかく呼吸を妨げるので、勢いあまって掴んだ。
「きゃーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
それは掴むと同時に勢いよく、甲高い声で飛び跳ねた。
真っ暗な空間のそこには、妙に明るいシルエットで制服を着た背丈の小さい女子がいた。
「ああ、なんだお前……」
その小さい女子は、顔を真っ赤にしてこちらを見ている。
しかも、なんだかスカートを妙に意識して整えているのを見て、さきほどまで顔に乗っかっていたものを想像して……。
「想像しちゃ駄目ーーーーーーーー!!!!」
それは真っ暗な空間に木霊する、甲高い声。
目のぱっちりと大きい、くせっ毛のセミロングヘアの女子は、こちらを涙目で潜めて睨んでいる。
オレは無意識に頭を掻いて、ため息をついた。
「で、…アンタ誰?」
ぶっきらぼうに、小動物のような女子に言った。
女子はその涙目をやめて、はっとしたように答えた。
「わ、わたしはことり……」
やけに小声で聞き取りずらい。
「は?鳥がなんだって?」
そう言い返すと、女子は少しムッとしたようにこちらを見て答えた。
「ことり、私の名前は、羽田ことりです!」
最初のコメントを投稿しよう!