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いたぶるのは趣味じゃない。
少々のいたずらはそりゃあまあ、楽しいが。
敢えて痛みを与えるなんて。
SM趣味なんてのは俺にとってはあり得ない話。
苦痛を喜びに変えるなんて言うのは、理解に難い。
そう言った時に、かつて、友人の一人がこういった。
「痛いのが好きなわけじゃない。そこにあるのは、全幅の信頼。全面的な愛。
こんなことをしても許されるのかまだ信じてくれているのか、確認しているんだ。
反対に、される方はすべて投げだしているわけだろ。少しでも不信が混じったら、それは事故につながるわけだから」
すとんと、おちた。
それなら納得。
思わぬ相手の全面的な信頼。
それほど大事で無くせなくて、愛しいものはない。
サディスティックな趣味は持ち合わせていない。
けれど。
生身のお前が手の届くところにいる。
本家の仕事に翻弄されて、しばらくは日本を離れていたから、久しぶりのこと。
定期連絡と称して電話で話をしていた時に、結膜炎になったと言っていた。
だから、それを理由にその目を隠した。
ぐるぐると包帯を巻いて、視界を奪う。
ここ数年、とりあえずの形で開いていた輸入雑貨店を任せていた。
税金対策というよりは、俺の手の範囲内にとどめ置くための、理由。
お前が気に入っているのを知っていて、閉店を決めた。
そろそろ形振りは構っていられない。
手元に置くか、手離すか。
選ぶ余地はない。
だから、取り上げた。
本家に手を回して、渋る宗主を口説き落とし、手に入れた。
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