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奉納舞の出だしは、僕――疫神。
笛の音に合わせて中央に進み出る。
振りを思い出してからは、馴染んだように体が動く。
振りかぶった刀を頭上で回す。
ぐるりと上段から振り下ろして一周まわり、決め。
決めのまま止まっていると、大大鼓が鳴る。
じゃらんと呼ばれる鐘が鳴り、龍神の登場。
真後ろから来る気配に、どきりとした。
まさか。
左に振り落とされる、龍神の薙刀をほとんど身を動かさずに紙一重で交わす。
右から回ってくる薙刀は、刀で受け流し。
鐘の音に合わせて、繰り出されるその刃を、形どおりに受ける。
音はどんどん早くなり、最後に龍神の薙刀が降ってくるのを、頭上で両刀を使って受け止める。
跳ね返してくるりと身を躱し、向かい合った。
やっぱり、のんちゃん。
黒一色の紋付袴。
太い握りで、よく見かけるのよりは刃部分の大きな薙刀。
いつも人を食ったようにニヤニヤしているのに、珍しく鋭い表情。
その眼光に、ぞくぞくした。
受けて立とうじゃないか。
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