第1章

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ぶん、と薙刀が風を切る。 正月を迎えてキリリとしていた空気が、ピンと張り詰めた。 奉納舞は疫神が追い払われ、竜神が最後の締めを舞って終わる。 払われて先に引っ込んだ僕は、あとの舞を見る余裕がなかった。 なんだよ。 なんだよ。 なんだよ。 なんだよこれ。 なんだっていうんだ。 冬の夜中だっていうのに、ポタポタと汗が落ちる。 気が緩んだ瞬間、手から刀が落ちた。 「すごいな、お前…おつかれさん」 刀を拾い上げた父親が、僕の肩をなでた。 「…え?」 「兄貴の気迫に負けないで舞いきれるやつなんて、そうそういないぞ」 「負けまくってるよ…」 「いやいや、大したもんだ。風呂が用意してある、体が冷えないうちに湯をつかってこい」 「ありがと」
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