序章 サイレンが鳴り響くとき

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幼い頃の夢を見た。 今まで思い出すこともなかったのに、忘れたかったのに、忘れていた筈なのに、その夢を見た。 起きた瞬間に夢の内容は忘れちゃったけど、一番見たくない記憶を掘り起こされたような、とても気分の悪い夢だったことは覚えている。 頭を振って気持ちを切り替え、ベッドから降りて制服に着替えているとコンコンとドアがノックされ、聞きなれた声が続く。 「雫珠(しずく)、起きてるか?そろそろ出る時間だぞ」 「起きてる。すぐ行くよ」 返事をしながら身支度を整えて、首に常時つけている黒のチョーカーにふれる。 「今日は…来るのかな……?」 ため息とともにでた呟きを振り払うように再び首を振って部屋から出ると、小さなリビングに置いてあるソファーに寝転がって雑誌を読んでいる(かなり)がいた。
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