第1章

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その星の輝きに負けんとばかりに、爽やかな笑みがキラリと光る。 アルナイル学園のCMが、どこか辛気臭いと思ってしまうのは、私の心が腐っているからでしょうか。 ヒーローの適性があれば、来年からアルナイル学園に入学し、そこで3年の年月をかけて清く正しい正義の味方へと成長する。 その成長の結果が、この辛気臭さなのか。 「ふぅ、そろそろ、準備しよー」 ポテチを食べ終えて、一息ついたところで重い腰をあげる。 ついに、やってきました第一体育館。これから適性検査が始まります。 白衣を着た、5人の研究者らしき人達があくせくと働いております。 この検査は、初めに血を抜き、次に水晶に手をかざす。 あー、はやく家に帰ってゴロゴロしたい。正義の味方とか私がなれるわけ無いし。もう帰りたい。 出席番号順に並んでいるので、私の番は最後から数えたほうが早い。 「緊張するね」 お腹が痛いので帰りますーとか通用するかな。と思っていた時、いきなり前に並んでいた子が振り返り、話しかけてきた。 「えぁ!?そ、そうですね…」 や、やめてくれ、いきなり話しかけるのは。 心臓が飛び出るかと思ったよ。 「あ、やっぱり三神さんでも緊張するの?」 えぇ、人と会話するのは緊張します。 コミュ障故に。 「き、緊張しますよ」 思わず敬語になってしまったのは許してくれ。コミュ障故に。 「私もさぁ、もしかしたら適性あるかもって思うと夜も眠れなくてさー」 あ、そっちか! ですよねー、分かってましたとも。
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