第1章

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これからのぼっち人生に思いを馳せていると、いつの間にか私が所属するクラスに着いたようだ。 A組って響き、なんだか良いよね。スペシャルな香りがする。 黒板には、出席番号順で座るように指示されており、決められた席に座りぼんやりと教室の様子を眺めていた。 まだ、担任の先生が来る気配はみられない。 なんでチラチラ周りを見てるんだろあの人。いや、あの人だけじゃない。ほとんどの人がそわそわと落ち着きがない。 あ、まさかこれは! このもどかしいような、甘酸っぱいような空気は! この青春の第一歩を踏み出そうとしている感じは! ……。 ……んー? いや、なんだこの空気。 わからない。 皆、なんでもじもじしてるの?トイレ?トイレなの?みんな揃って? トイレならさっき通った所にあったよ? あ、なるほど。ははーん。恥ずかしくて行けないんだな。 確かにこの静かな空気じゃ大変だよね。 因みに、私は朝いったから問題ない! ふふ、大丈夫だよ。私は笑わないから。この空気を破るくらい問題ないよ。 問題ないから行っちゃいなよ! 大丈夫だってば。私、笑わない。問題ないよ! 皆を微笑ましく眺めていた時、一人の男子生徒が沈黙を破った。 「俺、埼玉から来たんだけど、お前どっから来た?」 まるで魔法のようだった。 その言葉を皮切りに次々と交わされる言葉。 そして、いつの間にか教室中にその現象が起こり、あっという間にざわめきと共に華やかな空気へと変わった。 なぜ、どうして。 そんな言葉がグルグルと、頭の中を回る。
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