第1章

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最後、後ろの席。 どういこう。いきなり振り返って話しかけても大丈夫かな? もしも、後ろの子が誰かと既にお話していたら、私のガラスの心が壊れる自信がある。 しかし、耳を澄ませてみても後ろから話し声は聴こえない。 これは、フリーだ! 完全にフリーだよ。いける、いけるぞ私。 よし、3秒数えたら振り返るぞ。 絶対やるぞ、必ず振り返るぞ。 1…… 2…… 3! うぅ……。やっぱり怖い。 くそう。 ええい、ままよ。女は度胸! バッ、と振り返り、視線を向けた。 そこには、前髪が目にかかりそうな程長く、後髪は襟足できれいに揃えられている少女がいた。所謂、おかっぱという髪型である。 そして、赤渕メガネ。全体的に野暮ったい印象が受けられた。 何を憂いているのか、顔は窓の外に向けられ、その魅力的な唇は不満そうに曲げられていた。 そして、ポツリと誰かの名前が彼女から放たれる。 「ユーリ……」 なるほど、恋する乙女なんですね。 でも、関係ない。ぼっちを回避したい想いは恋にも負けない! 不意に彼女がメガネを取り、眉間を揉む仕草をした。そして、彼女が顔を正面にむけ、目が合った。 「…………」 「…………」 メガネを外すと美少女ですね…… きっと、あれだ。少女漫画の世界からこっちに引っ越してきたんだ。 ぱっちり二重に黒目がちの瞳。高すぎず低すぎない鼻。シミのない健康的な肌。 じっと、衝撃が強すぎて固まっていると、彼女は顔を俯かせ、私から顔を逸らした。 なんだろう。ものすごく心臓の辺りが痛い。刃を突き刺された気分だよ。 でも、そんなんじゃへこたれない! 意を決して話しかける。 「こ、こんにちは―――――」 「よーし、お前ら。担任様の登場だ。静かにしろー」 その日、私は担任を一生恨むことを決意した。
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