第1章

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母は、遊客さんが何物なのか教えてはくれなかった。 ただひとつ解ることは、「茶道部にいた時に遊びに来てたお客さんを 遊客さんって呼んでたわよ。校舎の中にそろばんと習字を習いに来てた人達が。甘いもの欲しさに。」 と母の葬式に参列してくれ友達が教えてくれたこと。 母の形見があるからと先生に無理を言って借りてきた鍵で離れの校舎を開けた。 かび臭いと習字の臭いが入り交じる。 友達も誘ったが、塾があるからと断られてしまった。 階段をあがると茶の間とかかれた扉があった。 締め切られた窓から入る日差しと校庭からの人の声が不気味に聞こえてくる。
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