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「でも、 白津先生は、茶道部員じゃ?」
「私ね、綾乃より、2つ上なの。習字教室が終わった後、いつも、夜遅くまで先生と残ってた綾乃と仲良くなったわ。家に帰っても誰もいないって寂しそうだったから、茶道部に誘ったわ。そしたら、友達連れて遊びにくるようになって、部員全員で名前をつけたの遊客さんって」
「でも、今、遊客さんは、白津先生だって」
「卒業してからは、私が遊客さんになったの。」
「なるほど…」
「綾乃は、私の大切な人。誰にも渡したくはなかったのに…あっさり持ってかれたのよ。貴方のお父さんに」
「えっ?」
「あんなに愛してたのに。」
「…母は、受け入れたんですか?」
「綾乃から告ってきたのよ。 」
笑いながらいう 言葉に、理解しきれない頭をフル回転させた。
「あの…付き合ってたんですか?」
「4年ぐらいかしら理解できない?」
「女どうしで…」
「この世には男と女しかいないのよ。女通しだって愛してあえるわ。それにあの茶室の遊客さんは、部員と、秘密を抱えてた。まぁ暗黙の了解ってやつよ」
「理解できません。」
「子供には、無理よ。」
ふわりと頭を撫でられた。
授業の終わりを告げるチャイムがなる。
「伝えてくれてありがとう。」
「母の最後の言葉ですから。」
「戻りなさい。教室に」
「失礼します。」
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