第1章

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高遠さんは周到で。 あっという間に迎えた金曜の夜、私は無難なワンピースに着替えて髪を軽く巻いた。 ノースリーブの袖口から見えてしまう日焼けの堺をカーディガンで隠す。 高遠さんは私より色白だった。 私が黒いだけかもしれないけど、それでもテニス部は活動が緩い事もあって、室内競技のバスケやバレーの子よりは焼けてるけど、陸上部やソフト部よりは全然白い。 友達と遊びに行くより小さいバッグを手にして、私は家を出た。 父は会社から直接待ち合わせ場所に行くという。 普通、娘と合流してから行くもんじゃないんだろうか。 そうでなくても、父と私は似てないんだから…高遠さんのお父さんがどう思うか…。 十中八九、ガッカリすると思う。 父の友達や同僚が、私を見ると微妙にガッカリした顔をするから。 別にブスってわけじゃないからいいじゃん。 どっかのアイドルじゃないけど、クラスで10番目くらいに可愛いくらいの容姿ではあるんだから。 まあ、クラスで10番目っていうと、クラスの人数によっては、下の方なんだけどね。 学校との往復では立ち寄らない駅まで電車で行って、私は父と以前行った事があるお店の前に到着した。
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