序章 新たなる出会い

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正直、こういう心遣いは嬉しく思うが、やはり、 「何かあったら手伝わせてほしい。俺だって、そのギルドの一員なんだし」 そう告げると、エリスは虚を突かれたように口を半開きにした後、優しく微笑んで、 「もちろん、その時はお願いするよ。けど、せめて今日は休みなさい。でないと、今後一切仕事回さないから」 思わぬ反撃に今度はライが苦虫を噛んだような表情をした。 そして、渋々といった様子で頷いた後、ふと発する。 「なんか、エリスさん。前よりハキハキしてるな。余裕があるというか」 するとエリスは数秒ほど考え込み、 「一応落ち着いてきたからかな。まだ気は抜けないけど、予兆はないし」 自分なりの考えを呟く。 「いや、そうじゃなくて……」 ライは即座にエリスの言葉に感じた齟齬を話しかけたが、途中で止めた。その齟齬がどんなものか分かっておらず、どうせうやむやになるので、時間の無駄と思ったからだ。 「ま、いいや。それじゃ、お言葉に甘えて今日はもう休ませてもらう」 「うん、お疲れ様。明日も無理はしなくていいけど、出来れば依頼の方を片ずけてもらえる? 緊急性のものはないから、自分で選んで」 「りょ~かい」 気の抜けた了承をしながら、ライは部屋の外を目指して歩き始めた。 そうして、扉を開き、半身を外に出したところで、 「また明日、差し入れでも持って来るよ」 「ありがとう。楽しみにしておく!」 言葉通り期待しているようで、返答には裏表を感じない。 それを嬉しく思いながら、ライは部屋から退出した。
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