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秋風は、一段と冷たさを増していた。
そんな中、花が咲いていた場所に、小さなマメの鞘が出来ているのに気付いた。
それも、たったひとつだけだ。
僕の心は、薔薇色になった。
「…実がなるんだよな。」
小さな鞘が、少し大きくなる度に、僕は、期待に胸震わすようになった。
また、あの恐竜の卵に、会えるんだと思うと、ワクワクした。
勿論、あの卵が本物の恐竜の卵ではないことを、自覚してる。
だけど、可愛がってきたフタバちゃんの子供だって思ったら、嬉しくなってしまったのだ。
その時の僕は、花なんか咲かない、実なんてならないって、みんなが思い込んでいた、この不思議な植物が、ちゃんと花も実も、産み出すことが、出来るんだって真実を、目の当たりにして、浮き足立っていた。
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