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小さな頃から、僕は、恐竜が大好きだった。
もし、タイムトラベルが、出来るようになったら、絶対に、恐竜の闊歩するジュラ期や白亜期に行きたい。
ディプロみたいな、でっかい恐竜も好きだし、ティラノみたいな、格好いい恐竜も好きだ。
望みを、なにかひとつ、叶えてくれるなら、プテラの背中に乗って、大空を飛びたい…。
そんな僕だから、本物の恐竜の卵が、どんな物かは、言われなくても十分知ってる。
今、この世の中に、恐竜の卵は、化石でしか発見されてないんだ。
そいつは、もう物言わぬ石であって、温めたって孵化しない…。
3Dで再現された恐竜を動かして、当時の生態は…みたいな番組を、やっていたのは、BBCか、ディスカバリーだよな。
食い入るように見てたけど、ただそれだけだ。
僕らは、本物には、一生会えないんだよ…。
叶わない夢なんだ…だから、浪漫を感じるんだ。
そんな僕の心を、ざわつかせるあいつは、なんなんだ?
“恐竜の卵”なんて言ったって、ただの種だろうが。子供だましを、大人が、真面目によくやるよ…。
そう、半ば呆れている癖に、なぜだか気に掛かるのだ。あの小さな石もどきが。
今度、行ったら、また見てみるか…芽でも出てたら、嬉しいかもな。
その夜、僕は、プテラの背中に乗って、あの石もどきを、大切に抱えている夢を見た…。
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