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フタバちゃんと僕の蜜月は、結構長く続いた。
でも…それも、終わりかな。
そう思わせる出来事があった。
いつものように、薬局を覗くと、フタバちゃんがいなかった。
「フタバちゃん!?」
慌てふためいて、フタバちゃんを探す僕を見て、あのお姉さんが、肩を叩いて声を掛けてくれた。
「どうかした?」
「ここにあったの、どうしたんですか?…まさか、捨てたんですか?」
なかなか芽がでなかった頃に、薬剤師さん達が、捨てようかって話していたんだ。
芽が出てからも、花咲かないし、どうしようって…。
「いつまでも、置いとくわけにいかないし、捨てようかって話していたんだけど、私も、愛着湧いちゃったみたいでね。
土がある方が、育つ気がして、植えてきたの。
裏手の事務棟の入り口に、小さい花壇があるの知ってる?…そこの片隅に、植えてきたのよ。
花咲くかしらねぇ?」
「教えてくれて、ありがとうございました。」
僕は、フタバちゃんに会いたくて、一生懸命に仕事して、終わったら、速攻、花壇へ走っていった。
「フタバちゃん!!」
そこには、広い空の下、精一杯、伸びをしている緑の葉っぱが、植わっていた。
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