10人が本棚に入れています
本棚に追加
秋風が、冷たくなった頃、ほったらかしにしていたフタバちゃんのことが、なぜだか、頭をよぎった。
「フタバちゃん、もう枯れちゃっただろうな…。」
そう思ったら、罪悪感にかられてしまった。
一応、どうなったか、見てこよう…。
僕は、フタバちゃんの花壇を、バイト帰りに覗いてみた。
そこにあったのは、想像とは違うフタバちゃんの姿だった。
「…枯れてない。それに、花が咲いてるじゃないか!!」
蔓の巻き付いている木の枝と葉っぱの間から、いくつかの花が、顔をのぞかせていた。
マメ科特有の蝶々の様な可憐な藤色の花が『私は、ここよ。』って、呼んでいた。
「ごめんな、ほったらかしで…寂しかったよな、フタバちゃん。」
僕は、そっと蔓に触れながら呟いていた。
最初のコメントを投稿しよう!