恐竜の卵

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秋風が、冷たくなった頃、ほったらかしにしていたフタバちゃんのことが、なぜだか、頭をよぎった。 「フタバちゃん、もう枯れちゃっただろうな…。」 そう思ったら、罪悪感にかられてしまった。 一応、どうなったか、見てこよう…。 僕は、フタバちゃんの花壇を、バイト帰りに覗いてみた。 そこにあったのは、想像とは違うフタバちゃんの姿だった。 「…枯れてない。それに、花が咲いてるじゃないか!!」 蔓の巻き付いている木の枝と葉っぱの間から、いくつかの花が、顔をのぞかせていた。 マメ科特有の蝶々の様な可憐な藤色の花が『私は、ここよ。』って、呼んでいた。 「ごめんな、ほったらかしで…寂しかったよな、フタバちゃん。」 僕は、そっと蔓に触れながら呟いていた。
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