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入り口の重扉は開けっ放しで、誰でも簡単に入ることができる。
向かって左側に錆びた郵便ポストが奥までならんでいた。
どうやら“708”号室まであるようだ。
突き当たりを右に行くと一階の各部屋の通路に続くドアがあり、右は上階へ続く階段となっていた。
躊躇わずに上へ昇り、息を切らしながら七階まで到達すると、それでも階段が上へと続いているので昇ってみる。
小さな踊り場の後に重扉。
細身の人間が丁度一人通れるくらい開いている。
難なくそこを通る。
屋上に出て陽の光を近くに感じた。
チカチカ眩しく、思わず目を細める。薄暗い階段や廊下を通ってきたため、目が慣れるまでに時間を要した。
目をこらし、ようやく視界が開けると、同じようにこっちを見ている人がいる。
胸くらいまでの艶やかな黒髪は風に弄ばれており、丸い愛らしい瞳に似付かず、疲れた面持ち。
制服が、彼女は女子高生だということを教えてくれた。
轟々と風が唸る度に、近くの山の木々が一斉にざわめいた。
青々とした葉っぱが、屋上の所々に落ちて、勢いよく吹かれ、飛ばされていく。
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