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なんだか自分に似ている。根拠はないけれど、似ているのだ。
呼吸の際に胸を詰まらせ、少しの間むせ返った。
違う、これは症状じゃない。
言い聞かせるも、この嫌につっかえる咳は、紛れもなくいつもの症状だ。
手術後、数年間の幽閉に近い病院生活はなんだったのか。
まるで成果が得られていない。
フェンスに掴まり、もたれるようにして、症状が治まるまで咳を繰り返す。
と、背に手を添えられ、顔を上げると、彼女が一定のリズムで撫で、病魔をなだめてくれようとしていた。
やがて落ち着いたので、彼女に礼を述べた。
彼女は握った手の甲を口に当てて、小さく笑う。
「顔色が、悪いわ」
不謹慎にも彼女は笑うのだ。
今までは、少しでも体に異常が来すとすぐに周囲は心配し、向けられる目も真剣そのものだった。
故に、笑う彼女を冷徹に思う者もいるかもしれない。
だが、当たり前は当たり前じゃない。
すっかり人に頼り切って生きていた自分が情けなく、こんなに可笑しいこともないだろう。
恥ずかしさを隠すようにつられて笑った。
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