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会場の熱気は最高潮に高まりつつあった。
ストラトキャスターから放たれるシングルコイルとは思えないほどの太いリフ。追い立てるかのように前ノリで弦を揺らすベースライン。そこに突き刺すようなテレキャスターに噛ませたファズペダルがマーシャルアンプを唸らせる。重く刻まれるドラムの4ビートにバンドが呼応する。
アリーナにこだまするリバーブは空間を完全に満たした。観客の心臓の鼓動、呼吸が一致するみたいだ。
Tシャツが汗を吸って気持ち悪い。人の大波に呑まれてしまいそうだ。ステージのバーライトの照明が僕の眼球を焼きつける。
ーーー息を飲む瞬間。
ギターソロが終わってボーカルが戻ってくると観客席の熱が一気に加速する。殴るような振動が体全体を包みこみ、ここだけが世界から隔絶されたみたいな、そんな異空間を演出するのだ。
そして、僕はーーーこの説明できない躍動感とさらに燃え上がる歓声に押し潰されないようにただただ必死だった。
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