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<季題>
パネトーネ、併せて年の瀬
<季節>
待降節に始まり降誕祭(現行太陽暦12月24日日没時より)後数日まで
年の瀬:
文字通り「年末」の意。これのみでも季題となり得るが、この句では主要季題の下句「パネトーネ」に次ぐ副次季題とする。
また、想起されるべきは太陽暦12月終盤、特に降誕祭前後数日だが、本来年の瀬もパネトーネも月終盤のみに限定されるものでないため、太陽暦年末12月全般としても好い。
の:
厳密文法上は下句「パネトーネ」に掛かる属格の格助詞。ここでは「~における」の意を表す処格や、切れ字「や」の役割も含意。
些か:
いささか。「少し」・「わずかに」の意の副詞。
ただし肯定表現では謙譲(一人称)・婉曲(二・三人称)も含意し、転じて「大いに」の意も併せる。
辛-し:
から-し。この句では直後下句「パネトーネ」を直接修飾する連体形。
一般に舌のみでなく口腔粘膜全体で、しかもしばしば痛みや熱を伴った危険信号として感知される味覚刺激(辛子や胡椒の味)の状態を指すが、同時に「鹹い(からい)」、即ち「塩からい」の意も含み、この句では後者に重きを置くものとする。敢えて字綴を「辛」としたのは、「辛い(つらい)」の意も含ませるため、「鹹さ(からさ)」即ち「辛さ(つらさ)」として覚える様を示唆するために外ならない。
因みにパネトーネ調理で食塩は、一般のパン調理同様小麦粉総重料に対し100:1程度しか使用されない。それ故この「鹹さ」は、ともすれば「辛い(つらい)」涙故のもの、と解釈することもできようか。その際、涙の由縁については不問、各自自由に想像すべきであろう。
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