年の瀬の 些か辛き パネトーネ

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パネトーネ: イタリアの菓子。特殊なパン生地を用いる。原語発音に近く綴れば「パネットーネ(原語字綴panettone)」。 形態上の印象は英語圏の円筒型パウンドケーキに類似し、製法や食感は仏語圏の果実入ブリオッシュに類似。パネトーネ酵母と呼ばれる仔牛小腸由来の特殊な酵母を材とし、その発酵は砂糖や乾燥果実(専ら砂糖漬)の大量使用と併せ保存効果を高め、夏期でも室温保存で1ヵ月以上、冬期ならば半年ほどまで保存が可能である。使用する乾燥果実の種類は様々で、総じて干葡萄が多くオレンジピールやシトラスピール(レモンピールで代用可)も多い。 酵母育成を始め製法に困難が伴いながら広く季節不問で愛され食されていたが近代以降、北部ロンバルディア州、特にミラノ県を中心とした地域ではクリスマス銘菓とする習慣が定着。この習慣は20世紀にかけイタリア全土からカトリック圏大半にまで波及し、EU経済統合後西欧・中南米のほぼ全域から米加の一部まで、待降節から降誕祭にかける「食の風物詩」の一つとなりつつある。 また、乾燥果実を用いないものをパンドーロと称するが、これはヴェネト州ヴェローナ県を中心とした地域の銘菓。これもパネトーネ同様元来季節不問の保存食と考えられるが昨今では季節ものとなり、パネトーネと並んで様々なヴァリエーションが欧米で愛されている。
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