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そして平穏な日々が過ぎ、王都から村長代理が着任する日となった。
「よーし、俺の役目はここまでだな。諸君らもよくぞ訓練に耐え抜いた。諸君らは既に戦士だ」
伍長がの厳しいシゴキを耐え抜いた5人。その表情は幾分かキリッとしているように見えなくもない。
「ただまあ、俺は戦うという意味、あとは少しの力を与えたにすぎない。力ある者としてこれからどうするのかは君らに任せる。よく頑張ったな」
本当にここでやることは全て終わった。
体も本調子になった。次を何をやれと言われるかは知らんけど楽なのがいい。適度に体動かして適度に休めるやつ。
「伍長、到着されたっス」
「長かった……!今行く───!?」
しかし伍長に電流走る───!
「嫌な予感がする。とてもとても嫌な予感がする。なんなんだこの嫌な感じは」
「えぇ……(困惑)」
すると、シャーリィ嬢がガチ泣きしながら凄まじいスピードでこちらに走ってきて一言。
「たっ、助けてください!!」
「ど、どうした!?助けるってなんか来たんか!?もしかして村長代理がヤベー奴とかか!?」
混乱しているのか要領を得ないが、どうにも村長代理と一緒にいた奴が原因らしい。
「ちゃ、ちゃぱつの」
そこまで聞いた瞬間に村の入口の方から奇声とも猿叫とも笑い声とも取れる音が聞こえてきた。
このどこかで聞いた声、茶髪という単語。
細胞レベルで全身が拒絶しているのが分かる。向こうは死地だと俺という存在が訴えてくる。
「隊長、住民を役場に集めて戦える男を選抜しろ。俺は先に奴を押さえる。全部隊展開!」
いつぞやぶりのファミリー総動員である。
「これより我々は茶髪変態を抑える!装備にケチをつけるな!殺せ!どうせ死なん!戦闘機も、ミサイルも、ABCでも使えるものは何でも使え!奴を処理できる誰かが来るまで何としても!この村を死守するッッ!!!第一部隊はついてこい!」
「伍長アッポーを。こっちは天谷のダンナに連絡いれるっス」
宿に装備取りに行く暇なんてない。刻一刻と奴の犠牲者が増えている。この場にいないミヤビ姐さんが心配すぎる。オッサンとでっていうはどこ行った?
「俺たちも行く!村がヤバイなら住んでる俺たちも当事者だろ!?」
「……トラウマなっても知らんぞ」
様々な不安要素が押し寄せる。何を隠そう、今から対峙する奴が不安要素の塊なのだから。
近づくにつれてキョホホホだのウヒョーだのと不愉快な音が大きくなってくる。
視認した瞬間に呪文で動きを止めて蜂の巣にしてやる。それで避難の時間くらいは稼げるかもしれん。
「……見えた。総員、戦闘開始!住民の避難を最優先、役場に集めろ!手が空いたら奴に集中砲火!」
『イエッサー!』
「俺たちは!?」
「避難の誘導と住民の点呼を取れ!女性は奴と目を合わせるな、取り殺されるぞ!」
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