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「いやー、キツいっすよー。いきなり拷問なんて」
「ならここで全部情報を吐けばいい」
「いや、だから情報も糞も私は流浪の身ですので」
「嘘つけ」
「いやいや、そんな疑心暗鬼じゃやってけませんって。最近どうなんです?やっぱスパイ多い感じ?」
「なにサラッと俺から聞き出そうとしてんだよ」
「だってまあ知りたいじゃないですか。同じ様に連行された無実の旅人の数くらいは」
「教えれるわけねーだろ」
「絶対に?」
「絶対だ」
かかったなアホが!まずは確実に無理そうな要求を投げ、次に軽い要求を投げる!前のインパクトで麻痺った頭では軽い要求は飲んじまうのよ!
「なるほど。長官殿ほどの方になればやっぱりお強いので?」
「そりゃそうよ。俺は集められた奴らにも負けねえ」
はい、鍵持ち確定。
一般人がどんだけ頑張っても鍵持ちには勝てないのよね。
最初のターゲットはこいつだな。
「集められた奴らってそもそも怪しくないですか?そいつらがスパイって可能性は考えました?」
「ん?皇帝陛下直々にお声をかけた連中だ。スパイはあり得ねぇ」
この国はダメかもわからんね。
「じゃあ私が知ってる情報を言いますね。この世はギブアンドテイクです。まずは王国のソウスケ・アマヤ。彼は何と個人で軍を保持してます」
「んなもんその辺のガキでも知ってら。常識だ常識」
「彼、何と凄く美人な妻がいるんですね。それも複数」
「それも常識だ」
あれれー?
「彼、今はスパルタンでしたっけ?それの事務処理で疲労困憊、休暇も取れずすっごくイライラしてるらしいですよ」
「あ、あれがイライラしてんのか……」
お、これは行けるんじゃない?
「つまりですよ?彼を最大限のおもてなしで懐柔する、もしくは疲労に付けこんで眠らせた隙に……!」
「ほう。お前マジでスパイじゃないのか?」
ま、アイツは寝込みを襲われたくらいじゃ死なないだろうけどね。
「何度も言ってるじゃないですか」
よし、これで出れそう。
「あのー、長官。表にその男の連れを名乗る女が」
おや?女騎士(侍)かな?
「お前女連れかよ……」
「連れてこい」
「迎えに来ましたよ伍長さん」
「あ、お前伍長って……」
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