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『いつもの、花束を…』
そう言って、彼は店内をうろうろする。
『素敵な人ね。顔も身体も行いまでいいなんて。』
桜がつぶやく。
桜に出来上がった花束を渡して、追い出し、静かにいつもの花束を作る。
彼はどうやら気付いていないみたいだ。
『毎月決まった日に買われていますよね?とっても大切な記念日なんですか?』
『そうですね。大切な人との大切な時間です。』
そう言いながらうつむいた彼は、どこか寂しそうだったけど、幸せそうな女の人の顔がちらついて、きっと私の方が寂しそうだったに違いない。
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