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桜には愛してやまない人がいる。
でも私はその人を知らない。
なんでも海外を飛び回る写真家なんだそうだ。
桜にしては珍しく10歳以上上の大人な彼。
おじさんに興味ないっていってたのに、なにがよかったんだろう。
桜もまた、雑誌の編集長として忙しい毎日を送っているため、普通の女の子みたいに、さみしいとか悲しいとかそんなこと言ってる暇はないんだそう。
『あの人の前で、口をぶつけるのは時間の無駄なの。今会えてるこの時間を存分に楽しみたいの。だから、会えなくて寂しかったなんてそんなことはないのよ。私も私で毎日を必死に生きてるんだもん。』
そういいきる桜はかっこよかった。
私はどうだろう。
叔母の経営する花屋の雇われ店長で、特に大きな目標もなく日々を過ごしている。
男も、まぁそこそこいる。
好きだなぁと思ってそばにいる人もいれば、ワンナイトラブみたいのもお互い楽しめればいいと思ってる。
彼への想いを語る桜を、少し羨ましいと感じる私はやっぱり『本当の恋』ってものに、いつかは出逢えるのではないかと期待しているからなのだろうか。
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