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「ぁ、、っ……」
「シッ……静かに……」
俺の唇に冷たい指先が触れて、頬までも包み込んだ
隣では男性用のトイレから水の流れる音がする。
鞄を取り上げられた俺は盛り上がる前の先輩を確認しつつも、いつでも真っ暗な路地に逃げれる様にしながら、団体の後ろをついて歩いた……
次はお楽しみだぁー!!
おー!!!
と、大学生の様な雰囲気さえ感じる中年の団体様御一行……
だれかが、男はいつまでも子供だって言ってたな?
女性の前では見栄を張り、男同士では子供に還る?
うん、本当に子供だ
眺める俺は本当にこうゆうのは向いてないと思う
「大丈夫か?」
とぼとぼと沈んで歩く俺を心配してくれたのか久野さんが近寄ってきた……
「だ、大丈夫です!大丈夫ッ!!!」
俺は必死に笑顔を貼り付け
それ以上近寄るなとアピールした。
嫌いな訳じゃない
皆の憧れの久野さんは俺には別世界の人?高嶺の花?雲の上の人?
言えば大袈裟過ぎるが、其くらい
遠い存在なのだ。
ま、同じ部署だけどね?
「そうか?無理するなよ?」
気にかけ、同じ歩幅で足を揃えてくれる久野さんのお陰で優越感に浸った俺。
「水割りでいぃですか?」
ふんわりと巻いた髪が肩からほどけ、
小首を傾げれば花の匂いがした。
「ぁ、はぃ…」
「ふふ、可愛いですね…」
俗に言う、ラウンジ
綺麗な御姉さんに見とれながら
飲み慣れないウイスキーを口に運ぶが
思ってるより水みたいだった。
それは、酔っているからなのか
それとも、綺麗な御姉さんが見せる色気に惑わされているのか判らない。
ただ、すぐ近くに髪の毛があって、並んで座る俺の肩に彼女が笑う度に手入れされた艶やかな髪が触れた。
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