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亜紀は友香里と『蜃気楼』に幾度か通った。
40代のマスターはいつでも笑顔で迎えてくれた。
店に来る時間が早いこともあり。
客は亜紀と友香里だけの日が多かった。
カウンターを挟んでの三人の会話は楽しかった。
マスターはボキャブラリーが豊富で笑わせ上手。
どんな話をしても笑顔になれた。
亜紀もいつのまにかマスターと気軽に話すようになり。
それが彼女の癒しになっていた。
「ほんと、良いお店ね」
友香里に真顔でそう告げると。
「でしょ」
友香里が笑って応えてから、
マスターにチラリと視線を送った。
それに気付きマスターも笑顔になった。
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