第一話 蜃気楼

16/41
前へ
/41ページ
次へ
マスターは既婚者だった。 友香里からは仲が良いと聞かされていた。 それもあって、亜紀は気安くなれた。 マスターは聞き上手で話し上手。 気転が利いて会話にリズムがある。 見た目はスリムで清潔感があった。 独身だったらモテるに違いない。 彼はたった一人で店を賄(まかな)っている。 だから、多少客を待たせることがあった。 それでも、ここにくる客は不平を言わない。 マスターの笑顔にほだされてしまう。 常連になってから亜紀は、 寝しなにしていた一人遊びの回数が減り。 『蜃気楼』に通う頻度(ひんど)が増えた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

413人が本棚に入れています
本棚に追加