413人が本棚に入れています
本棚に追加
夫と二人で住む友香里は、
夜、自由になれる日はそう多くはなかった。
亜紀は『蜃気楼』へ一人で通うようになる。
亜紀とマスターが二人だけになる日もあった。
その何度目かの夜に、
亜紀は気になっていたことを
マスターに尋(たず)ねた。
「友香里が『マスターと仲良くなると、楽しいわよ』
って話していたけど、それって?」
「そんなこと仰(おっしゃ)っていたのですか」
と口にして、マスターはニコッと笑みをつくった。
なぜマスターが微笑むのか、
その理由はわからなかった。けれども、
マスターは嬉しそうにしている。
その笑顔にひかれて亜紀は小さく笑った。
最初のコメントを投稿しよう!