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ゾクッと背中が騒いだ。
スカートの奥を見られたわけでもないのに、
亜紀に恥ずかしさがわく。
マスターはカップルに頭を下げ。
それまでの微笑みをリセットして、
目を細めて亜紀へ近づいてくる。
客のスペースよりも幅があるカウンターの内側。
中央に鎮座(ちんざ)するブック・スタンド。
そこに何冊かのメニューがある。右端の一枚を取り。
マスターが亜紀の正面に来た。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
「いつもので、よろしいですか?」
「ええ」
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