第一話 蜃気楼

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『欲求不満』 嫌な言葉が浮かぶ。 そうではないと強く否定出来ない。 いっそ、浮気でも。そう考えたこともあった。 でも、実行する勇気はなかった。 妖艶な気持ちになると、一人、慰めた。 ネットで買った玩具。そのスイッチを入れる。 メリハリのある振動が心地良さを与えてくれた。 右手に握り、そっと身体に当てる。 響いてくる。身体の奥までそれが届く。 何度か行って、戻すを繰り返す。 じょじょに甘い感覚が広がり。指がしなる。 呼吸にうわずる声がのってしまう。 夫の喜ぶ表情を想い描いた。 声には出さないが彼の名を呼んだ。
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