第1章 夢の国?いいえ、とんだ大間違いです。 

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「おーい、お前ら。全員いるな?担任様の授業サボる不届き者には遠慮なく頭の良くなる課題を出してやるぞ。」 「キャー!欲しーい!!」 「間違えたら手取り足取り教えてくれるのかな?」 「ホストー!!!」 ガラッと扉を開けて教室に入ってきたホスト紛いの人物に辺りから歓声が上がる。長目の前髪をサイドに流し素肌に羽織った青いストライプのシャツは胸元まで大胆に開け放たれている。普通はだらしないだけのそれもこの人がすれば大人の色気に変換されるから正直羨ましくなってしまう。てか、ホストに見えるの俺だけじゃないないんだ、うん。 「授業出てんなら課題なんざ必要ねぇように俺が教えてやってんだ。ちゃんと聞いてろ!…と、英智は…いるな。」 黄色い声援を適当に流し俺を見付けてニヤリと笑う。いるよーと笑顔で手を振れば、急に表情を渋らせて…、何?俺いるけど…? 「英智、昼休みに生徒指導室な。」 「何でー?俺、今日は遅刻してないじゃん。ヤだよ。」 「はぁ?可愛い顔して担任を誘惑しといて何で?はねぇだろ。分からねぇんだったら、その身体にしっかり教え込んでやらねぇとな?」 傍まで来て、フェロモン駄々漏れでスルリと俺の頬を撫でる。途端に周りから一斉に上がるブーイングに、その手を払いながら苦笑い。 「もう、セクハラは堀ちゃんだけ十分!俺だけそんなにご贔屓にされちゃ先生のファンの皆に怒られちゃうよ。」 「ファンて…。どっちかっていったら今のは俺へのクレームだぞ?ところでセクハラ堀、お前には有難い課題だしとくから明日朝一で献上しろよ!」 「えぇ!?とばっちり??英智のバカ!!」 「ゴメンゴメン。ね、そんな怒んないで?」 コテンと首を傾げて謝ればこっち見てた皆が真っ赤になって固まって、数人が股間押さえて慌ただしく教室を出ていった…。あれー、これもダメだったー…? 「ったく、お前は!」 「待ってまって!!今のは不可抗力だよー!!」 「昼休み。来なかったら後悔させてやるからな。んじゃあ、授業始めんぞ。」 出席簿でバシッと叩かれた頭擦りながらページを開いて…一応聞いてますって姿勢だけ。ぼんやり外を眺めれば手入れの行き届いた広大な庭園に噴水、美術書で見たような彫刻まであって…さすがにもう大抵の事じゃ驚かないと自嘲してしまう。 もうすぐ一ヶ月になるんだねー…。 たった一ヶ月前の自分を思い出したらため息が出た。 …帰りたい。
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