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第2章 そもそもどこで間違えたんだろ?
父はイタリアの血の入ったハーフ、母は出会った頃はジュエリーショップでデザイナーを目指して働いてたらしい。そこにたまたま彼女連れで入った親父が母さんに一目惚れして、猛アタックの末口説き落としたそうだ。
そんな話を幼い頃から散々聞かされてきた俺は男女の恋愛とは情熱的に押しまくるもんだと思ってて、それがちょっと日本のそれとはズレてると知ったのはいつだっただろうか?
ありがたいことに親父からイタリア人のハデな顔立ちに陽気な気質と母さん譲りの構いたくなる(らしい笑)おっとりタレ目のおかげでよくモテた。自分で言うのも何だけど。
幼い頃を思い出しても、周りの女の子達が競い合うように俺の隣を取り合ってた。反対に男子からは相当嫌われてたのは仕方ないよな。よく俺のせいで女の子同士がケンカにもなったけど『エーチ君は悪くない!』って皆言ってくれてたから…。
そんないい加減に生きてきた罰なのかもしれない。高2になって早々、俺を取り合って女の子が3人で取っ組み合いの大ゲンカになって…。前から折り合いの悪い仲だったのは知ってたけど、キレた女の子がこんなに凄まじいなんて思いもしなかった俺はただただ、ポカンと眺めてるだけで。
そのうちの一人がPTAの娘さんだったから騒ぎも大きくなって、全面的に俺が…みたいな感じで。実際一番キツかったのは『英智!お母さん、女の子にだらしない子に育てた覚えはありません!!』って母さんに泣かれたことだったりするんだけど。
そうなったら兄貴達も俺の味方は出来なくて…、そしたら一人暢気な父親が酔っ払ったノリで転校先を見つけてきた。聞いたことのない学校名と軽すぎるノリにどうかとも思ったけど『全寮制の男子校らしいよ!』なんて言ったもんだから母さんが『今から荷造りして、GW明けからそこに通いなさい!』って、俺の意見は聞くどころか口も挟ませてもらえないまま荷物詰めてそのまま連行?された。
思えば…、そこで気付くべきだった!授業料免除とか全寮制なのに諸経費まで無しでいいよ♪とか、極めつけに迎えの車が高級リムジンとか!?執事がセバスチャンじゃなかったのが残念だったけど…。でも優しそうな神辺さんて執事さんがいろいろ教えてくれた。
だから、さ…。敷地が山一個とか、見上げるほどの高い門とか、学校が城だとか、寮が高級マンションとかさ…。事前情報あったってビビるよ、マジで…。
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